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ハンダ付けなしで電子工作を始めよう 〜ブレッドボード〜

2010年11月 ※2013/02 ページデザインを変更
サイト開設2周年(と2カ月)。いつもの製作物紹介とは違った感じの記事になりました。
電子工作の入門者は、なぜか門の前で引き返す人が多いような気がします。
そこで、入門者が無事入門できるためには? ということを考えてみました。

電子工作に興味を持った人が、いざ工作に挑戦するとなったとき、
最初の壁がハンダ付けであることは多分間違いありません。
スタート時点で挫折するので入門者になれないのです。
それならまずハンダ付けをしない電子工作から始めてみたらどうでしょう。
とにかく成功体験を得ることができれば、そこから晴れて入門者になれると思うのです。

そんなわけでブレッドボードを紹介する記事になりました。
ちなみに、入門者にとってもう一つの壁である回路図は出てきません。

2013/06 更新 ブレッドボードの図を追加。


ブレッドボードを知ろう!
ブレッドボードとは
誰しも小学校で、豆電球と乾電池をつないで光らせる実験をしたとがあると思います。あのときは電池(電池ボックスにつないだ導線)と豆電球の導線を捩って(よじって)つなぎました。外すときは逆に捩ってほどいて、導線がヨレヨレになったり。引っ張ったりしても導線は外れてしまいました。
電子工作では通常、部品を基板にハンダ付けして組み立てます。ハンダは熱で溶けてまた固まる金属です。これなら部品や導線はガッチリつながります。その反面、部品を外したり取り替えるのが困難です。そこでブレッドボードなるものが登場します。基板の代わりに使う、部品の土台です。


←これがブレッドボードです。
※正しくはソルダーレス・ブレッドボード(ハンダ付けが要らないブレッドボード)ですが、単にブレッドボードと呼ばれています。

手のひらサイズや、何枚か組み合わせた大きめのものまで様々なサイズがあります。価格は数百円から数千円です。
※下敷きマットのマス目は1cmです。
ブレッドボードの表面には無数の穴が並んでいて、ここに部品を挿して使います。
穴はブレッドボード内部でつながっているので、挿した部品同士がつながることになります。
導線を捩ったりハンダ付けすることなく回路が組めて、部品の取り外しも自由です。楽ですね!

上の写真では早速ブレッドボードを使っています。LEDを光らせる実験です。電子工作に馴染みがない人でも「LED」は聞いたことがあると思います。光る部品で、つなぐ電池の個数(電圧)や抵抗によって明るさが変わります。
※「抵抗」はLEDとセットで使われる部品で、正確には「抵抗器」と呼びます。上の写真で細長い縞模様の部品です。

LEDを、に取り替えてみよう。抵抗を取り替えて明るさを変えてみよう
ブレッドボードなら単純に部品を抜き差ししてそのようなことが簡単に確かめられます。

一方、部品が簡単に抜けてしまうことがブレッドボードの弱点でもあります。机から落として部品が飛び散ってしまったり。また、部品の足(金属線)を切らずに長いまま使っていると、ちょっと指を引っかけて隣の部品とショート(余計なところが接触)してしまうこともあります。作業中はこれらの点に注意しましょう。

実際の使用例
下の写真はブレッドボードを使って製作物を仮組みしているところです。
このサイトの記事「ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #1〜#4」の様子です。
左の写真:
右端に取り替え用の部品が散らばっています。LEDの光り具合や音の聞こえ方を調整しています。
右の写真:
機能のまとまりごとに違うブレッドボード上で組み、それらをジャンパー線(導線)でつないでいます。1つの大きなブレッドボード上で作るよりも作業しやすく、内容を変更するにも都合がよいです。

ブレッドボードにするか基板にするか
ブレッドボードは何年も使うとヘタってきます。内部の接触が弱くなり、挿した部品同士がうまくつながらなくなることがあります(接触不良が起こる)。その上、部品が一層抜けやすくなります。
このことから、ブレッドボードの主な使用目的は「回路や部品の検討のため」ということになります。この上に作ったものを最終的な完成品とするにはちょっと無理があるので、せめてケースに入れて中で揺れないように固定しましょう。
一度完成させて「ずっとこの形で使っていく」となったら、やはり部品を基板に移し替えてハンダ付けし、それを最終的な完成品とした方がよいでしょう。

2013/02 追記
ブレッドボード配線パターンタイプの基板があります(秋月電子通商)。ブレッドボードで電子工作に慣れ、初めてハンダ付けに挑戦しようと思った人に丁度よいのではないでしょうか。

ブレッドボードの仕組み
ブレッドボードの中身を詳しく見てみます。
ここに挿した部品は内部でつながる…と言っても? 全部の部品が一つにつながってしまったら意味がないですよね。ブレッドボードは、「どの穴とどの穴がつながる」という仕組みが決まっています。
まず、ブレッドボード両側の赤線、青線の穴はそれぞれ一直線に全部つながっています。
ただし、2本の赤線同士はつながっていません。2本の青線同士もつながっていません。

この赤青4本の線は電源線として使います。ここに乾電池やACアダプタなどをつなぎます。
赤が電源のプラス側(3V、5Vなど)、青がマイナス側(0V、GND)です。
赤/青の線が両側にあるからといって、電源を2つ用意する必要はありません。電源を左側/右側どちらかだけにつなぎ、赤線同士、青線同士をそれぞれジャンパー線でつなげばよいです。このときのジャンパー線は電源線上のどこに挿してもよいです。下の方でつないで字型にしても、中程でつないで字型にしても構いません。

次にブレッドボードのほぼ全体を占める穴ですが、これらは隣同士とつながっています。
写真の向きでは水平方向に、溝を挟んで左側/右側5穴ずつ つながっています。
※穴のつながりについては下図「ブレッドボードの中身」参照。
※中央の溝には大きな意味があります。後述「ICの挿し方」参照。

ブレッドボードを使うにあたり、実はこの真ん中部分の穴のつながりがちょっと覚えにくくて、最初の頃はよく間違えます。頭で分かっていてもうっかりミスる感じで。
1つの部品は必ず2列にまたいで挿す。1列の上に挿さない。

ブレッドボードの中身
ブレッドボードの内部には、穴の並びに沿って両側から挟むように金属板が設置されています。断面がU字形の細長い金属板です。穴に部品を挿すと、内部では金属板の隙間に部品が挟み込まれる形になります。

ブレッドボードを使いこなす
つながる穴の仕組みを具体的に確かめてみます。成功する挿し方と失敗する挿し方。これが分かればブレッドボードを使いこなせるようになります!

【例】LEDの挿し方 ※2本足の部品は全てこの例と同じことが言えます。
ブレッドボードを縦に置き、赤いLEDを横隣の穴に、緑のLEDを縦隣の穴に挿します。(図A-1)
ブレッドボードの内部的には、赤いLEDは金属板1列の上に挿したことになります。緑のLEDは金属板2列にまたがって挿したことになります。(図A-2)
この状態で各LEDに電流を流すと…(図A-3)
赤いLEDは点灯しません。(失敗例)
→LEDの足下で、電源線がショートしているのと同じことになっているからです。
緑のLEDは点灯します。(成功例)
→LEDと電池をつなぐ回路は正しくループになっているからです。
図A-1
赤は水平方向に、
緑は垂直方向に差し込んだ。
図A-2
赤は1列の上に、緑は2列に
またがって立っている。
図A-3
赤は点灯しない。
緑は点灯する。
※説明を簡単にするため図には抵抗を描いていません。本番の回路(LEDを点灯させる回路)では必要です。

図A-3におけるブレッドボード内部の様子

1つの部品は必ず2列にまたいで挿す。1列の上に挿さない。

【例】ICの挿し方
ブレッドボードの中央の溝、これはICを挿して使うためにあります。
ブレッドボード上で、ICは必ず溝をまたいで挿します。(図B-1)
この状態でブレッドボード内部では、ICの足は外側に延長されたのと同じことになります。(図B-2)
赤いLEDの例では1列上で足がショートしていましたが、ICの例の場合、ブレッドボード内部の金属板は溝のところで分断されているので、ICの両側の足同士はショートしていません。(図B-3)

図B-1
ICは溝をまたいで差し込む。
図B-2
ICの足が外側に延長される。
図B-3
断面図。

もしブレッドボードに溝がなくて水平に10個の穴がつながっていたとしたら、ICの両側の足は1対ずつ全部ショートしている状態になってしまいます。これではICが使えません。
ブレッドボード、上手くできています!


◆ ◆ ◆
今時のプラモデルは接着剤を使わず、はめ込み式で作れるようです。しかもプラ形成の段階で
ある程度色分けされていて、塗装なしでもまずまずの見栄えで完成するようです。
ブレッドボードを使った電子工作もそんなイメージで気軽に楽しめるのではないでしょうか。
しかしいつかハンダ付けが必要になるシーンは出てきます。そのときはチャレンジしてみてください。
ブレッドボードだけの工作とは比較にならないほど、やれること、作れる物、楽しさが広がります


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