[トップページへ戻る]

PC 3ピン ファンコントローラ

2008年8月製作/9月記事 ※2011/05 記事を改訂
PCで使うファンコントローラ(ファンコン)を作りました。
PWM制御ではなく電圧で回転数を制御するタイプです。

Shuttle K45Sに積んでいるCPU、Intel E1200のリテールファンは3ピンで、PWM制御線が付いていません。1900rpm、これがまたうるさい。もちろんBIOSでサイレントモードにしても回転数は変化しません。

K45Sの電源ファンは20mm厚4cmサイズで、スペックを調べたら6800rpm。これがまたうるさい。配線を切って10mm厚のファンに交換しましたが、どのくらいの回転数にすればよいか分からず6000rpmのものを付けてしまったので、やっぱりうるさくて失敗。

ファンコンでどちらも回転数を絞りました。CPUファン 1200rpm、電源ファン 3900rpm。
驚くほど静かになりました。K45Sは拡張性に乏しく、市販のファンコンを搭載するのも難しいです。それで小さくて手軽なファンコンを作ったというわけです。


取り付けた様子
ファンコントローラを2個作りました。左が縦型、右が平型です。
設置場所に合わせて形を変えただけで中身は同じです。

出力電圧が可変の三端子レギュレータLM317Tを使い、半固定抵抗で電圧を調整します。入力電圧は12V、出力電圧は約6.5〜9Vです。
縦型。
LM317Tから出力できる電流は1.5A(保証値)、典型値は2.2Aです。
ファンの定格が1.0Aくらいなら放熱フィンは不要です。それでも写真のようにフレームにネジ止めすれば、そこを放熱フィンの代わりにできます。
ちなみに上の写真の平型は熱伝導シールでフレームに貼り付けています。
基板の大きさは(W)30x(H)18mm。ケーブルの長さは20cm。
左の写真は平型です。

黒赤黄のケーブルをマザーボードのFANコネクタに、ファンのケーブルを基板上の3ピンコネクタにつなぎます。

回路図など
配線図


回路図

配線図では「平型」「縦型」をまとめて1枚の基板で図示していますが、互いにつながりはありません。
実際の製作では基板を2つに分けてそれぞれの上に作ります。

製作物の説明
この工作では出力電圧を自由に設定できるLM317という三端子レギュレータを使っています。
基板上の半固定抵抗を回して出力電圧を変更します。直感的には、ボリュームを左へ回すと電圧が下がり(回転数が下がる)、右へ回すと電圧が上がる(回転数が上がる)ように配線するとよいでしょう。

一般に、低ドロップタイプではない三端子レギュレータの入力電圧は、出力より3V程度高い必要があります。逆に言えば、入力が12Vなら出力は大体9V以下ということです。
このファンコンの目的は、「うるさいファンの電圧を下げて、回転数を落とすことにより、静かにさせよう」です。
「少し電圧を下げたいだけ」とは考えていないので、12〜9Vに設定できなくても問題なしです。

また、ファンには起動電圧というスペックがあります。
静止状態から回り始めるのに必要な電圧のことで、これを下回っては回転し始めません。
回り始めはトルク(回転力)が必要…回転中の状態を維持するより高い電圧が必要です。PWM制御のファンコンでも、PC起動時はブワーンと大回転し、数秒後に設定回転数に落とすものがありますが、それはこういう理由だからでしょう。

起動電圧が5Vのファンならファンコンを使うまでもなく、PC電源の5Vラインにつなげて低速で回転させればよいです。回転数のコントロールはできませんが。
ところで起動電圧が6Vのファンがあります。PC起動時は電圧が不安定なことも考えられ、ファンコンで6Vに設定していたらファンは止まったまま、ということがあります。手でチョイと回してやれば回り始めるんですけどね。

そのような状況を考慮して、このファンコンでは約6.5Vを下回らないように設計しました。
起動電圧が7Vのファンだとしたら、抵抗R2を1.2kΩ[茶赤赤金]に変更してください。下限値が約7.5Vになります。

先程から「約」6.5Vなどと書いていますが、抵抗の誤差で変わるからです(固定、半固定とも)。
固定抵抗はカーボン被膜で誤差5%。これに加え、半固定抵抗は誤差30%の品です。
ただ、誤差を気にするほどファンコンに精密な電圧制御は必要ないので、問題ありません。


PC 3ピン ファンコントローラ 部品一覧 (回路図はここをクリック
部品名 部品番号 個数 参考価格/備考
可変三端子レギュレータ U LM317T 1 2個100円(秋月電子
抵抗 R1 240Ω [赤黄茶金] 1 1個5円/100個100円
抵抗 R2 1kΩ [茶黒赤金] 1 1個5円/100個100円
半固定抵抗 VR 500Ω [501] 1 30円
積層セラミックコンデンサ C1 0.1uF [104] 1 10個100円
電解コンデンサ C2 10uF (16V以上) 1 10円
コネクタ 3ピン -- オス/メス 各1 各30円
基板、線材など -- 適当に -- 500円もあれば


◆ ◆ ◆
実は、「いかに安価に作るか」が真のテーマでした。
1個300円くらいで作れます。


(C) 『昼夜逆転』工作室 [トップページへ戻る]
inserted by FC2 system