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ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #4 基板で仕上げ(完成編)

2010年5月
タイトル写真は完成品が動作している様子。
ヘッドホンアンプにちょっとした周辺機器を組み合わせたシステムです。
今回は基板に仕上げて完成ということで、シリーズ第4回、最終回の記事です。

関連記事
ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #1 VUメータ(LM3915)
ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #2 イコライザ(TA2078P)
ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #3 マイコン利用(AVR/LED/LCD)
↑シリーズの記事です。#4はこれらを読んでいることを前提としています。

LM3914/LM3915/LM3916と両電源、仮想GNDとレールスプリッタ
ディスプレイドライバ LM3914/LM3915/LM3916について
PCオーディオレベルメーターの製作
↑この3つは今回の製作の準備編や基礎解説です。

キーワード
LM3914, LM3915, LM3916, LM358, NJM4580DD, TA2078P,
ChuMoyヘッドホンアンプ、VUメータ、レベルメータ、両電源、OPアンプ、
ボルテージフォロア、レールスプリッタ、Rail Splitter, イコライザ、
AVR, ATtiny13A, マイコン

本システムについて

第3段階でヘッドホンアンプ+VUメータ+イコライザのシステムの回路が確定しました。
イコライザはマイコンで制御し、表示方法(インジケータ)はLED版の方を採用します。
今回はそれを基板にハンダ付けして仕上げます。ケースの用意は任意ということで。
ヘッドホンアンプ・プラスアルファのシステム、ここに完成です。



基板はサンハヤト「ICB-504」を半分に切ったものです。72x95mm、手のひらサイズです。

動作中の様子
ヘッドホンアンプ・プラスアルファのシステム
(動画)
※この動画は無音です。


mp3プレイヤーとヘッドホンを本システムに接続。電源はACアダプタ(9V)です。
AVRマイコン ATtiny13Aを使ってイコライザIC TA2078Pを制御しています。スイッチを押すごとに、Normal(LED無点灯)→Rock(左点灯)→Pop(中点灯)→Classic(右点灯)が切り替わります。
動画はRockの状態から始まっています。
LEDの並び順は周波数特性のグラフをヒントにしました。
Rock…低音域強調(大)+高音域強調。
Pop…中音域強調。いわゆるVocal強調。
Classic…低音域強調+高音域強調。
Normal…ブーストなし。


回路図

(画像サイズ… 左:1260x900 右:800x600)

どちらもシリーズ第3回「(略)#3」で公開している回路図です。全体回路図(左の図)でイコライザIC TA2078PのCtrl-A/Bはスイッチにつながっていますが、本システムではスイッチを使わず、この部分にAVRマイコン ATtiny13Aからのコントロール線(右の図)をつなぎます。
「マイコン+プッシュスイッチ」が「スライドスイッチ2個」の代わりになっているのです。

マイコンの開発環境がない人は全体回路図の通りスイッチ2個で製作してください。その場合でもLEDをインジケータとして取り付けることができます。詳細は「(略)#3」の記事に書いてあります。

部品配置と配線図

部品の配置を検討するのに基板エディタPasSを使用しました。一例として図を紹介します。

まず、25x15穴の片面基板(サンハヤト ICB-88、秋月電子 Cタイプ基板)で作るつもりで配置を検討しました。やや無理が出ますが2枚で作れそうです。1枚は分割。基板B-2でLEDアレイの片側がはみ出す分は、ピンソケットを使ったりして何とかします。
実際の製作では、サンハヤト ICB-504の右半分が手持ちにあったのでそれを使うことにしました(上記2枚分のサイズ。秋月電子 Bタイプ基板)。部品配置はほぼそのまま載せた状態で行きます。



作業中は、右の画像をノートPCで表示し、それを見ながらハンダ付けしました。便利でした!
なお「自分仕様」として、端子や配線の一部はPasSのルールと違う使い方をしています。もしこの図を見ながらハンダ付けする人がいたら、回路図と突き合わせてどこがどこにつながるのか、あらかじめ確認しておいてください。

以下に、今回自作した主なPasS部品画像を公開します。
この他にサンハヤト ICB-504の右半分を逆さまにした基板画像も作りました。


PasS部品画像はこちら→ダウンロード PasS_parts_jsdiy.zip

基板は秋月電子 Cタイプで、矢島製作所製の片面ガラス・ユニバーサル基板がモデルです。
自分はこの基板(外周が1周少ないCタイプ基板)をよく使います。
これまで矢島製作所製の緑色の紙フェノール基板を使っていましたが、無くなったので片面ガラス基板に乗り換えました。

各部品を左側から説明します。
水色は2.54mmピッチの積層セラミックコンデンサ。
その下は3穴幅に挿す電解コンデンサ。
黄色2つは実物の形・大きさ関係に近付けたフィルムコンデンサ。

3穴幅に挿す抵抗。斜めに立てる状態。二等辺三角形にするか、リード線を垂直にするか、抵抗を垂直にするかは、周囲の部品配置によって変えます。
下は1/4Wサイズの抵抗を4穴幅に挿す形。リード線を根元で曲げます。

秋月電子で売っている小型スライドスイッチ SS12D01G4。1回路2接点。3穴に挿します。
DCジャックは基板の加工のしやすさを優先して穴の位置(側面の足)を変更しました。

LEDアレイは20ピンICと同じ形状です。実物は1番ピンにあたるところの角が落としてあります。それを図で明示しました。1〜10ピンはアノード、11〜20ピンはカソードです。この部品は向きが重要なので、電流が流れる方向が分かるように三角マークを入れました。

006Pの電池スナップはビニール製ではなくプラスチック製がモデルです。案外大きい部品です。

ALPSの2連ボリュームです。ネジ部の絵はフォンジャックから拝借。本体部の大きさは割と正確に描いたので、基板上で占めるスペース(見える穴、塞がる穴)は、実物のつもりで参考にできます。

裏返したフォンジャックです。フォンジャックの端子はユニバーサル基板の穴位置と大きさを考慮していません。基板に穴あけ加工するより、フォンジャックを裏返してくっつけた方が早いですよ。

ハンダ付け作業/完成

ハンダ付け作業中の基板の様子です。


左は部品のハンダ付けと裏面の配線まで完了した状態。
作業のしやすさのため、DCジャックと220uFの電解コンデンサ(大きい)はまだ付けていません。

右は被服線を配線して完成した状態。
LEDアレイの配線は線材のボリューム(太さ)があって上手く引き回せず、厄介でした。ICを覆いたくないし、裏面配線もしたくないし、…で、イマイチ綺麗に収まらず。
フォンジャックは透明の蓋の面にある出っ張りを削り、こちらを底面として両面テープで基板に貼り付け、ワイヤーで縛ります。ワイヤーには絶縁のため収縮チューブを被せてあります。
006P(9Vの乾電池)の電池スナップは省略しました。

ケースを加工する場合

例えば秋月電子で売っている、Bタイプ基板が入るアクリルケースに収めると、前後方向に結構隙間ができます。
DCジャックの穴を大きくしてプラグが奥に届くようにするか、DCジャックをケース取り付けタイプに変更します。

イコライザを切り替えるタクトスイッチは棒が長いものにするか、プラ棒で間接的に押すように工夫します。
この辺になると電子工作ではなく模型工作です。


2010/05 追記 ケースに入れました。ホコリ避け目的で適当に作ってます。



100円ショップで見付けた細長いケースを切り落として加工。底面と片側の側面は剥き出し。
電源スイッチとイコライザ切り替えスイッチを、側面から指を入れて操作できるのはメリット!?
14mmのスペーサとプラネジで、吊り下げる形で固定。この方法は気に入ってます。
ACアダプタを挿す円形の穴は大きめにして、プラグがすっぽり入るようにしてあります。

部品について

システム全体については、シリーズ第1回〜第3回の「回路と部品の説明」「部品について(補足)」の項目を読んでください。製作に必要な部品の一覧はシリーズ第2回/第3回の通りです。今回追加した部品はありません。
基板とケースは好きなものを用意してください。記事中の図や写真はあくまで製作例です。


「ヘッドホンアンプ・プラスアルファのシステム」、プロジェクト完了。
気が付けばICが5個も載ってるリッチなシステムになりました。


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