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ミニフォトフレーム NOKIA3300-LCD

2012年6月
NOKIA3300-LCD/S1D15G10動作テスト」で紹介したLCDを使い、ミニフォトフレームを作りました。USBでPCに直結。取り付けも再生もお手軽。お気に入りの画像ライブラリやフォトアルバムを流しておけば、PC作業中の手元が楽しくなります。


全体の構成
ハードウェア
ATtiny2313を使用。V-USBでPCと接続します。NOKIA3300-LCDを9bitシリアルモードで制御します。
USB給電5Vを三端子レギュレータで3.3Vに降圧。ATtiny2313とNOKIA3300-LCDを3.3Vで駆動します。
5Vないし3.3Vから、LCDのバックライト用に7〜9Vを作り出します。
メンテナンス性を考慮し、本体基板とLCDは分離できるようにします。ATtiny2313をISPするにも有利です。

バックライト用9Vをどうやって作るか
LCDのバックライトには7〜9V必要です。部品数、部品代、実装面積の都合を考え、MAX662Aを使うことにしました。バックライトに必要な電流は10mA程度なのでMAX662A(最大30mA出力)なら十分です。3.3V入力、3倍圧で8.5V程度が取り出せます。

ソフトウェア
再生ソフト(プレイヤー)をWindowsアプリで作ります。
再生中は邪魔にならないよう通知領域(タスクトレイ)に格納できるようにします。
なるべく短時間でデータを転送できるよう工夫します。

余談ですが、開発中は「ACアダプタを使ったマルチ出力定電圧源」が活躍しました。3.3Vと9Vを使用。

製作過程/完成品紹介
製作過程
今回の製作では全体的に薄く作ることを目標にしています。
秋月電子で販売しているMAX662AのDIPモジュール品は背が高いし高価なので、IC単品販売の方を購入し、同梱されている専用基板に自分でハンダ付けします。コンデンサは立てると根元でハンダ付けしにくいので寝かせます。結果的にこの形の方が背も低くなります。VCCを横にも出したのは取り付け先の配線の都合からです。

右の写真は取り付けイメージ。ハンダが裏面に流れ出たせいで0.3mmほど浮きましたが、地の基板を軽くザグって面を一致させました。これでUSB-Aオスコネクタとほぼ同じ高さになります。
三端子レギュレータや電解コンデンサは小型のものを使い、これも寝かせます。

ここまで配線したところで痛恨のミスが! あろうことか、USB-Aオスコネクタのピンアサインを逆順に勘違いして配線図を描いていました。正しくは「下から」VCC,D-,D+,GNDです。泣く泣く修正作業。実は最初に抵抗2本の位置を間違え、引っぺがし、次はUSBコネクタを逆に考え、引っぺがし。ハンダ面はぼろぼろです。
製作では68Ωではなく75Ωの抵抗を使用しています。V-USB的に問題ありません(30〜100ΩならOK)。

完成品
大きさは、USBコネクタ部分を含まず 42x42x12mm。
薄く作るために基板とLCDをどうやって接続するかが難問でした。ケーブルで直接結線しても動作上は問題ありませんがメンテナンス性は悪くなります。ピンヘッダ/ピンソケットを取り付けると、ロープロファイルのソケットであっても結構な高さになります。結局、苦肉の策で写真のようになりました。先端をL字形に加工したケーブルを1列型ICソケットに挿します。ちなみに緑のベロはLCD表面保護フィルムのタブです。

LCD側ケーブルの加工方法
上記、下段真ん中の写真を参照。絶縁のためにポリイミドテープを活用します。
  1. 長方形パッドの上辺に合わせてポリイミドテープを貼り、スズメッキ線でVCC系,GND系のパッドをそれぞれ接続します。
  2. 長さ5cmの被服線6本の先端に長さ1cmのスズメッキ線をハンダ付けし、並べ、先端を5mm以上出してポリイミドテープでサンドイッチにします。※いずれの長さも目安。
  3. ソケットの穴の間隔に合うよう、テープ内で固定位置を整え、先端から4mm程度でL字型に曲げます。
  4. ケーブルを長方形パッドにハンダ付けし、1.で加工した部分も含めてポリイミドテープで覆います。
2.で被服線にスズメッキ線をハンダ付けしたら、その部分を素早くピンセットで押しつぶして平らにします。そうすると並べてテープで固定するときに収まりがよくなります。

回路図と配線図
回路図
ダウンロード phfrmnk3300_v110.zip
ファーム(hexファイル, Cのソース)/再生ソフト
開発/動作確認環境
WindowsXP/SP3(32bit), AVR Studio5.1,
Windows7/SP1(64bit)
2013/04 更新 v1.10 再生ソフトを64bit版OSに対応させた。

配線図

プレイヤーソフト
動作中の様子

【動画の内容】
画像フォルダをショートカットアイコンにドラッグ&ドロップしてアプリ起動、自動再生。

アプリをズームアップしてメニューバーの項目を紹介。

改めて画像ファイルをドラッグ&ドロップし、シャッフル再生を設定。再生開始。

プレイリストに指定できるフォルダ/ディレクトリ
プレイリストには、画像ファイルを含むフォルダ、画像ファイル個別、それらを混在して指定することができます。
フォルダ内のサブフォルダは再生されません。
フォルダや画像ファイルの代わりにプレイリストファイルを指定することができます。

プレイリストの保存
プレイリストをファイルに保存することができます。よく再生する内容を保存しておき、プレイリスト欄にプレイリストファイルをドラッグ&ドロップすれば、プレイリスト設定の手間が省けます。このときプレイリストファイルは単独でドラッグ&ドロップします。フォルダや画像ファイルと一緒に追加しても有効になりません。

再生順
プレイリストに追加したフォルダ/ファイルは、フォルダ内の画像ファイル→個別指定の画像ファイル、の順に再生されます。デフォルトではフォルダ名/ファイル名の昇順に再生します。シャッフル再生を指定すると、「フォルダ」「フォルダ内の画像ファイル」「個別指定の画像ファイル」それぞれの中でランダム順に並べ替えます。

プレイヤーソフトの使い方
起動/再生


起動
デバイスをUSBコネクタに差し込み、アプリを起動します。アプリ起動後にデバイスを差し込んだ場合は[デバイスに接続する]ボタンを押下します。

アプリのショートカットを作っておき、そこへフォルダや画像ファイルをドラッグ&ドロップする方法もあります。あらかじめデバイスを差し込んでおけば一発起動再生できます。

終了
再生中/一時停止中は[停止]ボタンを押下し、再生をストップします。
そのままデバイスを引っこ抜きます。デバイスを切断するボタン操作や、電源スイッチはありません。



デバイスが正常に接続されるとLCDにアイコンが表示され、アプリの設定操作ができるようになります。
※右の写真は「180度回転表示」設定の場合です(後述)。本体が逆さまでも表示画像は正方向のままにできます。

※写真は[再生]ボタンを押下し、再生スタートした状態。
表示時間
 画像を何秒間表示してから次の画像へ移るか。
明るさ
 画像のコントラスト。※バックライトの明るさではない。
拡張子
 表示対象とする画像の拡張子。
プレイリスト
 フォルダ/画像ファイル、またはプレイリストファイルをドラッグ&ドロップで追加する。マウスの右クリックでリストをクリアする。
表示中の画像
 減色した画像、パレット(R:G:B)、データ転送時間。
[再生]/[一時停止]ボタン
 押下ごとに切り替わる。再開はプレイリストの続きからとなる。
[停止]ボタン
 再生中/一時停止中に、完全停止させる。再開はプレイリストの最初からとなる。
[LCD消去]ボタン
 LCD画面を消去する。
メニュー ファイル/設定/ヘルプ
設定を保存する/読み込む
 表示時間、明るさ、拡張子、設定メニューの内容を保存、または読み込みする。
プレイリストを保存する
 現在登録中のプレイリストを保存する。
終了
 アプリを終了する。ウィンドウ右上[×]ボタンと同様。
180度回転表示
 デバイスを逆さまに取り付けている場合、オンにする。※上記、起動時の写真を参照。
ループ再生/シャッフル再生
 プレイリストの再生順を決める。任意でオンにする。
バージョン情報
 バージョン情報のダイアログを表示する。

表示設定や設定メニューの内容を変更したら「設定を保存する」でファイルに保存してください。設定ファイルは次回起動時に自動的に読み込まれ、アプリの各パラメータに反映されます。
再生中に操作できる設定項目は変更すると直ちに値が反映されます。※再生状態から一時停止状態になる操作もあります。

部品について
小さく薄く作ることにこだわらなければ、部品選択の自由度は大きく、入手困難な部品はありません。
ただ、LCDモジュール「NOKIA3300-LCD」はaitendo以外に個人向け販売店はなさそうです。※2012/06現在

積層セラミックコンデンサC1,C2は使用する三端子レギュレータのデータシートで指定された容量にします。
積層セラミックコンデンサC3,C4はMAX662Aのチャージポンプ用です。1uFまでを目安に適当に。
積層セラミックコンデンサC5はMAX662Aの出力段のコンデンサです。本来なら電解コンデンサ10uFにするところですが、全体の薄型化/小型化のためにセラミックコンデンサで代用しました。バックライト点灯が目的だし、良しとします。
電解コンデンサC9は数十uF程度までで適当に。耐圧は6.3Vないし10V以上。できれば小型のもの。
抵抗R2,R3は68Ωが入手しにくければ(あるいは手持ち部品の都合)、およそ近い値で適当に。例えば75Ωでも可。
USBコネクタは使い方によってはケーブルタイプでも可。お好みで。
その他、LCDモジュールと基板の接続部は、プラ板、プラ棒、ICソケット、スペーサなどを使って工夫してください。

USB自在コネクタ(縦横回転するコネクタ)は500〜1000円で購入できます。100円ショップにもありますが、ぐらついたり回転軸が傾いていたり、値段なりの品質です。

ミニフォトフレーム 部品一覧 (回路図はここをクリック
部品名 部品番号 個数 参考価格/備考
三端子レギュレータ 5V→3.3V U1 XC6202P332TB など 1 2個100円(秋月電子
DC-DCコンバータ U2 MAX662A 1 250円(秋月電子)
AVR(マイコン) U3 ATtiny2313 1 100円(秋月電子)
LCDモジュール -- NOKIA3300-LCD 1 500円 (aitendo)
積層セラミックコンデンサ C1,C2,C5 1uF [105] 3 10個100円
積層セラミックコンデンサ C3,C4 0.22uF [224] 2 10個100円
積層セラミックコンデンサ C6,C7 22pF [22] 2 10個100円
積層セラミックコンデンサ C8 0.1uF [104] 1 10個100円
(小型)電解コンデンサ C9 4.7uF/35V など 1 15円(千石電商
抵抗 R1 1.5kΩ [茶緑赤金] 1 1個5円/100個100円
抵抗 R2,R3 68Ω [青灰黒金] 2 1個5円/100個100円
水晶振動子(クリスタル振動子) XTAL 12MHz 1 10個500円など
USB-Aオスコネクタ -- 基板取り付けタイプ 1 50円


◆ ◆ ◆
いかに薄く作るか、どうやってLCDを基板に固定するか、という点で苦労しました。
再生ソフトはいくらでも作り込めてしまうので、シンプルさを意識して機能を抑えました。


(C) 『昼夜逆転』工作室 [トップページへ戻る]
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