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ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #3 マイコン利用(AVR/LED/LCD)

2010年4月
タイトル写真はある日の製作風景。動作中の様子。
ヘッドホンアンプにちょっとした周辺機器を組み合わせたシステムを考えています。
今回は第3段階完成ということで、シリーズ第3回の記事です。

関連記事
ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #1 VUメータ(LM3915)
ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #2 イコライザ(TA2078P)
↑シリーズの記事です。#3はこれらを読んでいることを前提としています。

LM3914/LM3915/LM3916と両電源、仮想GNDとレールスプリッタ
ディスプレイドライバ LM3914/LM3915/LM3916について
PCオーディオレベルメーターの製作
↑この3つは現在作っているものの準備編や基礎解説です。

キーワード
LM3914, LM3915, LM3916, LM358, NJM4580DD, TA2078P,
ChuMoyヘッドホンアンプ、VUメータ、レベルメータ、両電源、OPアンプ、
ボルテージフォロア、レールスプリッタ、Rail Splitter, イコライザ、
AVR, ATtiny13A, ATtiny2313, LCD, SC1602, SD1602, 液晶モジュール

本システムについて

第2段階でヘッドホンアンプ+VUメータ+イコライザのシステムが完成しました。
イコライザは2個のスイッチの組み合わせで4通りのブースト効果が楽しめます。
ただ、スイッチ2個で切り替えるのは操作性が悪く、各ブースト効果との対応も覚えにくいです。
そこで、ブースト効果の切り替えにマイコンを利用しました。第3段階のシステム完成です。



左の写真は、イコライザの2個のスイッチの組み合わせをマイコンで置き換えたものです。
1個のスイッチで各ブーストを切り替えられます。3個のLEDでどのブースト効果中かが分かります。

右の写真も同様の置き換えですが、LEDではなく液晶モジュールにブースト名を表示して分かりやすくしたものです。さらに、VUメータの機能もマイコンに内蔵してみました。LM3915とLEDアレイが不要になります。…といっても、ものすごく簡略化した「なんちゃってVUメータ」ですが。

マイコンを使わず、もとのスイッチ2個でもLEDをインジケータにすることはできます。
単純に、イコライザIC TA2078PのCtrl-A/B線それぞれとGNDの間にLED(電流制限抵抗も)を付ければよいです。
そうするとRock/ClassicはそれぞれのLEDが点灯し、Popは両方のLEDが点灯することになります。両方のスイッチをONにしてPopなので。


マイコンの簡単な説明
ヘッドホンアンプの工作目的でこの記事を読んでいる人の中には、マイコンのことを知らない人もいると思います。
マイコン(マイクロコントローラ)とは極限まで小さくしたパソコンのようなものです。ICの中にプログラムを書き込んで初めて動作します。買ってきたままの状態で回路に取り付けても何も動作しません。
マイコンにプログラムを書き込むにはライター(writer/書き込み器)という機器を使います。

趣味の電子工作でよく使われるマイコンにはAVR(エーブイアール)とPIC(ピック)があります。
今回の工作ではAVRの、ATtiny13AとATtiny2313という型番を使っています。
これらのマイコンとライターを購入し、下記記事中のプログラムをマイコンに書き込むと、マイコンは記事の内容通りに動作するようになります。


左:ATtiny13A(8ピン) 右:ATtiny2313(20ピン) 写真では見えませんが表面に薄く型番が印刷されています。

このサイトにはマイコン工作の記事もあります。興味があればトップページから関係記事を読んでみてください。

ATtiny13A + LED

スイッチ2個分の働きとLEDの点灯が目的なので、小規模のマイコンATtiny13Aを使いました。
押しボタンスイッチ1個でイコライザIC TA2078Pを制御します。
スイッチを押すごとに、Normal(LED無点灯)→Rock(左点灯)→Pop(中点灯)→Classic(右点灯)が切り替わります。基板に仕上げてケースに入れるとき、3個のLEDにRock/Pop/Classicのラベルを付けておけば良しです。LEDの並び順は周波数特性のグラフをヒントにしました。



プログラムはこちら→ダウンロード EqCtrlLED_v100.zip

マイコンの電源端子について
この回路は、本システムのTA2078Pのスイッチ2個と置き換えて使います。上記回路図のGNDは本システムのGND(グローバルな)につなぎます。VCCは本システムの仮想GNDにつなぎます。
マイコンのVCCは5V以下でなければいけません。TA2078PとGNDを共通にし、5V以下を取ってくるとなると仮想GNDの電位が適切ということになります。
マイコンの立場で見れば仮想GNDという意味はなく、4.5Vの電源を持ってきたということになります。

また、ノイズ対策が必要です。パスコンの他、デカップリングに数十uF〜100uF程度の電解コンデンサを付けた方がよいです。マイコンのVCC/GND端子に直結すると効果的です。
直結と言ってもコンデンサを空中配線でマイコンの端子に直接ハンダ付けするという意味ではありません。
コンデンサとマイコンの間で他の回路のVCCやGNDへの分岐点を通らず、なるべく最短距離で配線するという意味です。


ATtiny2313 + LCD(液晶モジュール)

どこまでやるか迷いました。
LED点灯の代わりにブーストタイプの名前を表示する、というだけではマイコン(ATtiny2313)とLCDの能力が余り、配線の手間に見合わないです。それでマイコンをもっと活用するため、VUメータの機能を内蔵しました。ところがここまでやると、もはやヘッドホンアンプの工作ではなく、このシリーズの趣旨から外れてしまいました。
そのようなわけで今回は、マイコンにLCDをつないでこんな風にもできるよ、と軽く紹介するだけにします。プログラム内容もやっつけ気味。マイコン工作に興味がある人は改造して楽しんでください。



プログラムはこちら→ダウンロード EqCtrlLCD_v100.zip

写真にはVUメータ部(LM3915とLEDアレイ)が動作している様子が写っていますが、これは液晶画面の内容と比較するためです。実際に本システムへ組み込むとすればVUメータ部は省略します。ただしVUメータのアンプ部は必要です。
システム全体の回路図はシリーズ第2回の記事「(略)#2」を見てください。



ずっと使ってきた液晶モジュールが壊れた。
VDDとVSSを逆につないだか、9Vを掛けてしまったか、だと思う。
うっすらぼんやり一瞬だけ文字が出てすぐに消えるか、大抵は何も映らない。またはゴミ表示。
バックライトは影響ないので、単なるオレンジ色の面光源として何かに利用できればと思う。


部品について(補足)

システム全体については、シリーズ第1回/第2回の「部品について(補足)」の項目を読んでください。ここではマイコン周りの部品について説明します。

LED版
LEDの色、形、大きさはお好みで。
電流制限抵抗の470Ωは一例です。LEDのVfと明るさの好みで計算してください。
スイッチはタクトスイッチなどの押してon、離してoffになるスイッチです。スライドスイッチはダメです。
電解コンデンサはデカップリング目的で、47uFは一例です。100uFや220uFでもよいです。
耐圧35Vは一例として私が使った部品の値です。20V以上ならよいです。

LCD(液晶モジュール)版
液晶モジュールは電子工作でよく使われるキャラクター液晶モジュールです。
16x1、8x2のタイプで足ります。もちろん16x2のタイプでも構いません。バックライト有無もお好みで。
抵抗R1はバックライト有りの液晶モジュール用の電流制限抵抗です。20Ω〜100Ω程度で。
半固定抵抗VR1は液晶画面のコントラスト調節用です。10kΩか20kΩで。
スイッチと電解コンデンサの留意点はLED版と同様です。


ヘッドホンアンプ・プラスアルファ #3 部品一覧
LED版回路図はここをクリック/LCD(液晶モジュール)版回路図はここをクリック
部品名 部品番号 個数 参考価格/備考
LED版
AVR(マイコン) U1 ATtiny13A 1 120円(秋月電子
LED LED1-LED3 -- 3 1個数十円
抵抗 R1-R3 470Ω [黄紫茶金] 3 1個5円/100個100円
スイッチ SW1 -- 1 押してon/離してoff
積層セラミックコンデンサ C1 0.1uF 1 10個100円
電解コンデンサ C2 47uF 35V 1 10円
LCD(液晶モジュール)版
AVR(マイコン) U ATtiny2313 1 100円(秋月電子)
液晶モジュール LCD SC1602など 1 500円(秋月電子)
抵抗 R1 47Ω [黄紫黒金] 1 1個5円/100個100円
半固定抵抗 VR1 10kΩ [103] 1 30円
スイッチ SW1 -- 1 押してon/離してoff
積層セラミックコンデンサ C1,C3 0.1uF 2 10個100円
電解コンデンサ C2 47uF 35V 1 10円

ヘッドホンアンプ・プラスアルファのシステムは、回路的には今回で完成です。
LED版の方を採用するつもりです。
基板にハンダ付けしてケースに収めればプロジェクト完了です。


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